ひきこもり
某地区にて:約2ヶ月
息子が部屋に閉じこもっているがどうしたらいいのか分からない、とのご相談です。
先ずお話を伺うためにお電話を下さったお母様とお会いしました。
御子息は10代後半。小学生までは明るくスポーツの得意な子供だったそうですが、中学生になった頃から口数が減り、高校は休みがちになり親の言葉に反発する事が増え、時には暴力も…。言葉では言えても暴力には自分を守ることに精一杯で恐怖さえ感じ、次第に何も言えなくなってしまったそうです。お母様が仕事に出ている間にお風呂に入ったり食事をした形跡はあるそうですが、顔を合わせる事も無い毎日が続くようになってしまったそうです。
御子息はこちらの問い掛けには予想より素直に反応しました。
何度か会ってみて分かった事は、彼なりに色々な事を我慢して諦めてきたという事でした。
中学で入りたかった部活は一通りの道具を揃えなくてはならなかったが『我慢して』と言って買ってもらえず、部活も入る事を諦めたそうです。それから『自分にはお父さんが居ないから皆と同じ様には物を買ってもらえない、我慢しなきゃ』とずっと思って来たそうです。友達と遊びに行ってお金を使う事も悪い事のように感じてしまい、段々『自分がいるからお金が掛かってしまうんだ』と思うようになってしまったそうです。
我慢しているのにお母さんに口うるさく言われる事がたまらなく、そんな気持ちを理解してくれない母親に対して、口より手が出てしまった。ある時、自分がこぶしを振り上げたら、叩いてないのにお母さんが自分の両手で頭と顔を覆う防御の格好をしたのを見て、自分は何て事をしてきたんだと悲しくなったそうです。母が自分に脅えていると知り、どう接していいのか分からず顔を合わせなくなってしまったのです。
この言葉を聞いて、彼はもう大丈夫だと思いました。素直になるきっかけが無かっただけなんだと思いました。
お母様は『我慢して』と言ってしまった事を泣きながら悔やんでおられました。
『このオジさんがこう言うから仕方ない』でもいいんです。
1対1では素直になれなくても、双方の話を聞く人、それが他人でも身内でも和解へのきっかけになる事もあります。喧嘩を仲裁してくれる人がいない2人きりの家族。溝が深まる前にお互いのお話が聞けたのも良い結果に繋がったのだと思います。
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